第参話

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ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『………っ。』 くそ、 面倒くさいな。 ーーーーードサッ。 私は柱を背に腰を下ろし、 ーーーーーカチャ。 刀を抱くようにして座る。 『あ、僕の事は気にしないで寝ててください。』 沖田が口を開く。 『そう言うあんたも養生が必要だろうが。』 横目で睨みつけながら呟く。 『はい。おかげさまで。』 皮肉めいた言葉とは裏腹な笑顔。 『…はぁ。』 ため息が出る。 私と沖田のどこが似てるんだよ。 こんなヘラヘラした奴… ーーーーーズイッ… 『そうだ。君の愛刀は…。』 私が抱きかかえている刀をのぞき込む沖田。 『…っ!それは…っ。』 『……………。』 私の剣を見た沖田が驚く。 『…村正…ですか…っ。』 私の刀をまじまじと眺め、口を開く。 『……らしいな。』 『………っ。』 沖田は興味を引かれているように しばらくその刀を眺めていた。 『……………。』 流派も剣へのこだわりもない私だが 村正くらいは知っている。 .
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