第1章

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「どこに行くの?」 「どこに行きたい?」 どこでもいいんだ。 ふたりになれるところなら。 「私、行ってみたいところがあるの。」 なんか嬉しそうだ。 俺はあれから2週間、 部屋で筋トレしたり、 一人の時に歩きに行ったり、 時には少し走ったりして体力を付けてきた。 きっともう元の俺に戻ってるはず。 あの時にコンビニの前に置き去りにしてたはずの車は、 退院したら麻美の家の駐車場に停まってた。 父親が乗って帰ってきてくれたそうだ。 週に一度の通院には自分で運転してる。 年明けには自分の部屋に戻ることになってるから。 そう考えるとちょっと寂しいかな… 誰かの気配が家の中にあるってのも、 すごく安心できていいものだ。 昨日は麻美と買い物に行って、 ふたりでごちそうを作って両親にごちそうした。 俺の腕をほめてくれる両親に、 麻美はちょっとムクレてたけど、 それはそれですごく可愛いんだ。 麻美もちょっとずつ、 料理もできるようになって、 いつか俺の奥さんになるんだ。 それまでは俺ができるから大丈夫。 「どこに行きたい?」 「うん。 毅が育ったところ。」
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