茜の海岸

3/17
144人が本棚に入れています
本棚に追加
/108ページ
「はい、もしもし?」  僕は多少の緊張とともにその電話を受ける。彼女とは当然、夏休みに入ってから一度も会っていない。 「あ、京助? やっと捕まった。あんたさあ、携帯の電源、ずっと切っていたでしょう?」  自動車免許の合宿中、携帯電話の電源はずっと切っていた。そして、合宿が明けたその足で免許証を取りに行ったため、ついさっき久しぶりに携帯電話の電源を入れたのだ。 「うん、そうだけど」  ということは、彼女は何度もこの携帯電話に電話をかけていたということだろうか? 彼女が僕に、そんなに緊急の用事があるとは思えないのだが、と首をかしげる。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!