欲望と……

23/30
678人が本棚に入れています
本棚に追加
/373ページ
良く見ると、この律子さんは、 母親の顔にそっくりだと思った。 知性的で、 一見、攻撃的な魅力があった女性。 「……それで、今日は何故 自宅に?」 ユウも、 陥れられたとはいえ、 「お礼も兼ねてお願いがあって」 その美しい熟女を長い間抱いていたのだから、 この律子さんを見た時に、きっと 言葉では言い表せない感情を抱いたはずだ。 「お願い?」 「はい、私をスカウトしてきた事務所にもお願いするつもりですけど、 水城さんに、初めての仕事としての撮影を依頼したくて」 怖いほど、良く似た積極性と 我が家にとっては けして、好転にはならないキッカケを 私は 心のどこかで 疎ましくさえ思えていた。
/373ページ

最初のコメントを投稿しよう!