第14章

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 誰も居ないミーティングルームの真ん中ではなくて、隅っこに陣取ってしまうのは自分の性格がそういう事なんだって思う。しかも一番こじんまりした丸テーブルの上に資料を置き椅子に腰を下ろした。窓から覗く青空をぼーっと眺めながら、これから米澤さんとデザイン変更した場合の会場設定を話し合うのかと思うと気が重くなった。  パラパラとディジーの写真集を捲り、コスモスと似たような花が最高のアングルで目に入る。ディジーはディジーで素敵な花だし、好きかと言われらた好きなんだって思う。だけど好きとか嫌いとかじゃなくて、綺麗だとか綺麗じゃないとかじゃなくて、米澤さんがデザインした花はコスモスで、デイジーではないんだ。それだけがストンと胸の中に落ちる。 ”ガチャ”  ドアが開く音がして、思ったよりも早く用事が終わったのだと思い振り返った。 「「...え?」」  二つの声が重なった。  目の前に今一番会いたくない人が目を真ん丸にして固まっていた。  
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