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もし、運良く捕らえたとしてもどうせ碌な情報は得られない事くらい土方は十分に理解していた。
所詮は捨て駒の道具であり、自害する事で雇い主の不利益にならないよう死ぬことすら訓練されているような者達だ。
死なずして捕らえる事の方が難しい。
「‥わかんねぇことだらけだな」
碌な情報もなく、今のところはほぼゼロに近い。
あの便利屋は得体が知れないまま。
普通の人間であれば、尋問している中であれだけ威嚇されていたら少なくとも恐怖心というものが表面に表れる筈だが、
彼は動揺する素振りすら見せなかった。
場慣れしているのか、それとも噂が事実だったか?
常日頃から先を考え頭を悩ませる土方は、険しい表情でいることが常だった。
「‥こうして考えていても仕方ありません。まずは皆にも話をしなくては?
‥続きはそれからですよ、土方君」
眉間の皺に、人を射すくめそうな眼光鋭さ、いつにも増して酷い顔つき。
土方と相対する考えや思考を持っていながらも、
人の心中を察することに長けている山南は土方の考えている事を想像するのは容易いことだった。
「組長格には大方話すとして、他の隊士皆には表面上の保護する名目だけを話すことでよろしいですか?」
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