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――ドッドッドッドッ!!!!
玄関のドアが開き、階段を駆け上がる音がする。
「力也さん……あんたの奥さん、随分焦っているんじゃないのか?
おおっと悪い。玄関の扉を閉めるのを忘れていたようだ。
あははっははは!!!! てめーの嫁も俺と同じ気持ちになるがいい!!!!」
「旦那さん……妻は僕を愛しています……こんなことをしても無理です。こんなことに時間を割くなら、貴方の奥さん美夢さんと向き合ったらどうですか? ずっと裸だと風邪をひいてしまいますよ?」
「ああああああ? ――殺すぞてめぇ? なんでお前に美夢の心配をされなきゃならない? これ以上コケにするとお前の嫁も刺すぞ?」
包丁を握りしめている掌が、じっと汗ばんだ。刃先をこの男に常に向けていないと気が済まない。こいつはどうも俺の神経を逆なでする――。
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