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殺し屋のようだった少女が見せた一面。
フルティはその人間味に少しほっとした。
逆に言えばその程度でほっとするほど追い詰められていた。
「落ち着いて。壊れたのは、えっと……」
爆発した煙の中からキラキラと光が湖の桟橋の向こうに飛んでいく。
フルティが目を凝らすと、遠くまでズームした。
「あっちのベンチで寝てる酔ったおじさんの鬱憤だけだよ」
「うっぷん?」
「心の一部だよ。本当は壊すんじゃなくて、魔法少女の清い心で浄化するんだけど……」
肩を落とすフルティ。
この短時間に痩せて一回り小さくなったようにも見える。
「……おっさんってのは、大丈夫なのか?」
「多分……。でも、一部とはいえ、心がポッキリ折れたんじゃないかな……」
あまり良くない表現。ゴクリと飲み込む。
「それは、どうなんだ?」
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