プロローグ

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―――地上 常に死と隣り合った崩壊している世界。 地上に住む誰もが、その1日を生き抜く為に必死に足掻いている。どんな手段でも使い、生きる為に人を殺す事も全く厭わない。 「その猪を今すぐ此処に置いて行け!!」 例えば、今もこうしてボロボロの服を着た男女5人が俺を取り囲み、真っ赤に充血した目で俺を睨み付けてくる事なんて普通である。 「そうすれば命だけは見逃してやる!」 5人居る内の男の1人がそう言って、男女5人全員が刃物を向けて来るのも日常茶飯事。全くの普通の事だ。 「あっ、何だお前等?この猪の肉が欲しいのか?」 俺は左手に持つ、狩って仕留めたばかりの猪の死骸を5人に見せ付ける様に上に持ち上げる。 ゴクリと誰かが生唾を飲む音がはっきりと聞こた。 男女のその血走った目や体の肉付きを見る限り、何日もまともな食事を摂れていない様だ。 「ッ!ああ、それを寄越せ!お前だってまだ死にたくないだろ!」 男が切羽詰った様に叫び、再び刃物を強く突き出す。今すぐにでも飛び掛かって来そうだ。 因みにこれは脅しでも何でもない。俺がこの猪を渡さないと、5人は本気で俺を殺しに掛かってくるだろう。 まぁ、だからそれがどうしたと言う話ではあるが。 「グダグダ言わず、欲しい物があるなら奪い取って見せろ」 こんな連中に俺がこの台詞を吐くのは何度目だろうか。この台詞を言うのもそろそろ日常化するかもしれない。 そんなどうでもいい事を考えながら、鞘に収まっている剣を抜いた。 ―――地上 この世界では1日で沢山の人間が簡単に死ぬ。 そして今この時も 5人の人間の命が消える。
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