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「千波さんからも何も連絡はないし、時間が経てば経つ程どうしていいかわからなくなって……」
「─────それは、千波さんも同じなんと違う?」
ずっと黙っていた友美さんが、ようやくそこで口を開いた。
俺は顔を上げ、膝を抱えたまま友美さんを見上げる。
すると友美さんは、俺の目線に合わせる為か同じように膝を折ってしゃがみこんだ。
「千波さんも、陸さんの気持ちがわからなくて、どうしていいかわからんのと違う?」
「………………」
「そこまで千波さんのことを好きやって気持ち、陸さんちゃんと伝えた?」
問われた俺は、大いに動揺してしまった。
友美さんはまるで糾弾するかのように、俺の瞳を真っ直ぐに射抜いてくる。
その鋭さに耐えられなくなり、俺は思わず友美さんから目を逸らしてしまった。
「………それは……」
好きだという言葉は、一度だけ口にした。
………初めて、彼女を抱いた時。
千波さんへの愛しさが溢れだして、気が付くと口を次いで言葉が出てきたような、そんな感覚だった。
でも確かに、状況が状況だったし、それが彼女に伝わったのかどうかはわからない。
────でも、俺はちゃんと……。
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