番外編

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「元気がないな」 東京へ向かう新幹線の中。 隣に座っていた伯父が、読んでいる新聞から目を離さずにそう言った。 ただぼんやりと座っていた俺は、ゆっくりと伯父に目を向ける。 「…………え?」 「ほんの少し前までは目に見えて楽しそうやったのに。……昨日迎えにきた時から、なんや様子がおかしいやないか」 「……………」 俺はなんと答えていいかわからず、無言で伯父から目を逸らした。 何も答えないでいると、伯父もそれ以上は何も聞いてこなかった。 ホッとしたのも束の間、おもむろに新聞を畳みながら伯父が思い出したように口を開いた。 「………そう言えば、千波さん辞めるんやってなぁ」 「…………!」 突然千波さんの名前を出され、俺はギクッと体を強張らせる。 そんな俺に気付いているのかいないのか、伯父は言葉を続けた。 「悪かったなぁ、急に付き合わせて。そのせいで千波さんの最後の勤務の日に立ち合われへんことになってしもたなぁ」 「………別に、大丈夫ですよ」 「せやけど千波さんをうちに連れてきたのはお前やねんし、見送るぐらいはしたかったんちゃうんか」 その言葉に胸が軋み、俺はたまらず伯父から顔を背けてしまった。  
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