82人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
◇
――最悪だ…。
カフェを出ると雨は上がっていた。曇り空の下、愛翔はずっと黙ってる。私の心も曇り空だ。
羽瑠の振りをしている私。男同士でファーストキスだなんて、一生の汚点だと愛翔は思っているはず。
私だって女の子だ。
ファーストキスがテーブルの下で不慮の事故だなんて、哀し過ぎる。
「さっきのことは忘れよう」
「うん、誰にも言わない。瑠羽には絶対言わないで」
私が瑠羽だってば。
「勿論だ」
私と愛翔のハジメテは、この瞬間、記憶から抹消された。
羽瑠には絶対言えないよ。
羽瑠が知れば、何を言い出すかわからない。
それよりも、羽瑠が私に無断で、勝手に真城と交際していることの方が許せない。
羽瑠が男に興味があったなんて、双子でありながら今まで気付かなかった。てっきり美少女巨乳好きだと思っていたのに、違ったんだ…。
最初のコメントを投稿しよう!