喧嘩上等

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◇ ――最悪だ…。 カフェを出ると雨は上がっていた。曇り空の下、愛翔はずっと黙ってる。私の心も曇り空だ。 羽瑠の振りをしている私。男同士でファーストキスだなんて、一生の汚点だと愛翔は思っているはず。 私だって女の子だ。 ファーストキスがテーブルの下で不慮の事故だなんて、哀し過ぎる。 「さっきのことは忘れよう」 「うん、誰にも言わない。瑠羽には絶対言わないで」 私が瑠羽だってば。 「勿論だ」 私と愛翔のハジメテは、この瞬間、記憶から抹消された。 羽瑠には絶対言えないよ。 羽瑠が知れば、何を言い出すかわからない。 それよりも、羽瑠が私に無断で、勝手に真城と交際していることの方が許せない。 羽瑠が男に興味があったなんて、双子でありながら今まで気付かなかった。てっきり美少女巨乳好きだと思っていたのに、違ったんだ…。
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