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「お、おいおい、出て行っちゃったぞ。
私らどうすりゃいいんだ?」
「え、え~っと・・・。
とりあえずコロニー入り口ゲート行ってみる?」
「そうしよっか。でもまだ一時間はあるって言ってたけど。」
「スノーさんもなんだかんだで心配なんすよね。旦那さんのこと。」
「うん。おばちゃん二人きりの時はいつも家族の話ばっかりしてるよ。
もちろんもげおさんの話も含めて。
たまに泣いてるし。」
少し空気が沈む。
本当はもげおさんもスノーさんも、お子さん達もみんな仲良くしていたいんだろうな・・・。
前にスノーさんは、幸せを噛みしめるように過去を語っていた。
向こうの世界に行く前の家族の様子をそれはそれは幸せそうに語っていた。
それはもげおさんも一緒だった。
幸せだった家庭が、何かのきっかけからズレが生じ、そして今はバラバラ・・・。
・・・なんか、ままならないものだな。人生って。
「ねえ、小鳥さん。」
「ん?なに?」
「絶対にさ。壊れない家庭って築けないのかな?」
「・・・どうしたのよ。急に。」
「うん。もげおさん夫婦見ててさ。なんか二人とも・・・。お子さん達には会ったことないけど、その人達も含めて、なんだか気の毒だなって思って。」
「・・・気の毒、か。そうね。」
「・・・俺達さ。多分もげおさん夫婦のこと、結構関わってきて、色々知ってるだろ?
二人とも、絶対悪人じゃないし、もげおさんは変人であっても、二人とも善人じゃない?多分。
だからさ~。
もげおさんが壊れたのだって、なんとかして一番大事な家族を守りたい。それがひいては世界を守ることだし、それを優先した結果、思いつめての空回りだし、
スノーさんだって、自分が責任を全うしてさ。もげおさんの帰る場所・・・。家族の帰る場所を守りたい、そんな気持ちがあるからがんばってるように見えてきたんだよね。
ま、まぁ、人の気持ちがよくわからない僕が言うことじゃないとは思うんだけどさっ!」
「・・・・・・ゆうすけさんの見立て。間違ってないと思うよ?私も同じように思える。
だから余計に想うけど、家族って難しいんだね・・・。」
「うん。」
入り口ゲート付近が騒がしくなってきた。
どうやらもげおさんが到着したようだ。
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