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あ、そうだ、ハモンさん・・・。
「負傷兵はこちらにお願いします!
無礼面の方々だけ、お通りください。」
一番奥の布で仕切られたスペースへと入る。てゆーか助かった。結局最後まで小鳥さんにハモンさんのこと気付かれなかったぞ。
正面の机にスノーさん。
俺達の姿を見ると、駆け寄ってきてくれる。
「無事だったわねっ!よかった!」
「あ、ありがとうございます。」
少しいつもよりも親しそうに接してくる姿に違和感。
「・・・あなた達はコロニー内で見ても今やトップクラスの戦力だから。だから最前線最中央のもっとも危険な所に投入させてしまったの。
だからね。本当に無事に戻ってくれて嬉しいわ。」
俺の手を掴み、にこにこと笑ってくれるスノーさんの姿が眩しい。
そうか、この人はそういえばいつも無理してる人だった・・・。
アキラとの関わりを見ていればわかる。本当は優しい人。心を氷に変えて、コロニー長としての責務を全うしようとしているだけで、本当は優しい人なんだ。
「・・・だけど・・・期待に添えたかどうかわかりません。
結局前線は瓦解してしまいました。
俺達も敗走してきただけです。」
「・・・それは他の隊からの報告でも伝わっています。
だけれどもあなたがたは最後まで戦場に残ってくれ、それが結果的に他の隊の撤退を助けることとなった。
本当にありがとう。」
「あ、いや、ど、どうも。」
あんまりスノーさんが嬉しそうにキラキラした笑顔で見上げてくるのでドキドキしてしまう。
「そ、そうだ。報告があるんです。」
ついつい顔を逸らしながら言う。
「報告?一応他の隊から聞いてはいるけど・・・。
戦場で何か変わったことでも?」
「ええ。例の伯爵。その声だけに会いました。
それと・・・。
スノーさんは怠惰ってのに心当たりがありますか?」
一瞬にして曇るスノーさんの笑顔。
「・・・・・・怠惰。
私は直接戦ってはいないけれども・・・。
七つの魔王。七つの柱。七つの大罪の一つ。
・・・それが?」
「俺達は戦場で伯爵という奴の声に出会い、そいつが人形と呼び、多分作り出したのが、怠惰と名乗っていました。」
「・・・・・・詳しく話を聞かせて頂戴。
付き兵さん。人払いを。」
スノーさんに促され、円卓へと腰掛ける。
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