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「えっとですね・・・。」
接敵から始まった戦いの流れ、コロニーに至るまでを根ほり葉ほり聞かれるがままに答えていく。
「そう、それでですね。怠惰のおっさん倒して、伯爵の声が無くなって、気配が消えたら、敵軍の様子が変化したんです。
まるで将を失って、本能のみで戦う兵士みたいに。」
「・・・つまり例の伯爵とやらがアンノウン共を操っていると?」
「はい。
と言ってもアンノウン共が俺達を襲ってくることに変わりはありませんが、それ以降は少なくとも集団的な行動は見られなくなりました。」
「・・・なるほど。
急に攻め手が途絶えたのはそのせいか・・・。
そう。まだ言ってなかったわね。
文字通り四方八方から攻めてきていたアンノウン共だけど、先刻から急に攻め手が止まったのよ。
もちろん相手の知覚内に入っていれば襲ってくることに変わりはないけれども、勢いは確実に失せたわ。
しかし解せないわね。
・・・なんで伯爵とやらは、引いたと思う?」
腕組みし、考え込むスノーさん。
「・・・それは・・・人形を倒されたから・・・
じゃないっ!
そうだっ!引く前に、近藤さん達の声が聞こえたんですっ!
・・・てことは・・・。
俺達以外に存在を知られたくなかった?」
「・・・もっと言うなら、伯爵の存在・・・大勢と接することのできない理由・・・伯爵をこの世界に引きずり出すことができる可能性のある者がいるかもしれない・・・ということ?」
「・・・一つの推論に過ぎないですが、可能性はありますね。」
二人で考え込む。
バタバタバタ・・・
ばさりっ!
勢いよく入り口の布が上げられ、飛び込んでくる伝令兵とおぼしき人。
「でっ!伝令っ!!
もっ!もげおさんがっ!!」
一瞬にして空気が凍りつく。
「あの人がどうしたのっ!?」
「発見したのは御子息ですっ!
前線基地敵中にて意識を失い、倒れているもげおさんを発見!
あと一時間ほどで救急搬送されてきますっ!!」
「あのばかっ!だからあれほど言ったのにっ!」
我を忘れ、慌てた様子で部屋を飛び出すスノーさん。
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