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「・・・それはゆうすけさんにも関わることですか?」
少し心配そうに小鳥さんが尋ねる。
「いいえ。幸いゆうすけさんはまだその域には達していない。だけれどもいつかはそうなるかもしれない。だからこそ今伝えておくのだけれども。
いい?
限界突破をし続けるということはね。
例えて言うならば、本来はストローほどの穴を無理矢理マンホールぐらいに広げるようなもの。
それはそれだけ大量に一気に魔力を使えるということでもあるのだけどね。
でも、本来はストロー程の穴を無理矢理広げていたら、穴もどんどん大きくなるでしょ?」
「はい、まあ。」
「それでね。それでも向こうでは問題なかったのよ。
どれだけ多量に魔力を使っても、向こうには世界中に魔力が溢れていたから。
自然と全身の細胞が空気中から魔力を吸収し、溜め込んでいけた。それが魔力の自然回復。
だけど、こちらでは違う。
極々薄い魔力しかない。
だから、この人の身体ではもうすでに適応できないの。
元々ストロー程の穴だったのがマンホール並みの大きさ。ということはそこからたれ流される、自然と消耗していく魔力も人一倍。
だけれども、薄い薄い魔力しかない世界。
そんな中でもこの人はまた戦い続ける。やっと回復した魔力を消耗して消耗して消耗して・・・。やがて空っぽ。
そうなるとね。
全身が魔力欠乏を起こす。
それこそ生命維持すら支障をきたすほどの飢餓に陥る。この人は他の人よりも遥かにそれに陥りやすいの。
・・・この人はきっとこのまま何もしないでいれば、おそらくは死んでしまう。」
「・・・・・・世界でただひとつ吸引力の変わらない掃除機が電力不足で吸引力が低下するようなもんすか?」
・・・なんでこのタイミングで掃除機やねん。そしてなんて微妙な例え。
「・・・・・・そういうことだからあなた達も気をつけなさい。
それじゃあ今日は私、パパに付きっきりになっちゃうと思うから、今の内にあなたたちも休んでいいわよ。」
「吸引力・・・。」
「いいからさっさと、出てけっ!!」
慌てて医療スペースから飛び出る。
「ばかやろ、ミカオ、お前もう少しデリカシーってものをだな。」
「えへへ、すんません。」
照れくさそうに鼻を掻いている。
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