prologue

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いい天気だ。 だからって会いに来た訳じゃない。 ただ、この新しい制服を見せるため。 俺は雲一つ無い空に手を伸ばして大きく伸びをした。 「あー、気持ち良いな」 こいつが俺の声に答えてくれないなんていつものことだ。もしかしたら今の現状に怒ってるのかもしれない。 だから俺は少し顔をしかめて教えてやる。 「見ろよ、これ! 俺はちゃんと約束守ってるからな?」 守ってないのは……。 空を見上げて太陽の光に目を細めた。 忘れた、なんて言わせない。 忘れられるはずがないんだ。 だから俺は――。 「絶対に、約束は守るよ。――」 そう、あいつに伝えた。 遠くで小鳥のさえずりが聞こえる。 風が吹いて、木々の葉を揺らす。 俺の声に、微笑んでる気がした。
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