第十八章 リミット #2

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年が明けたからと言って特に何か変わったというわけでもない 特別変わったといえば、新聞のテレビ欄ぐらいではないか そんなくだらい事を考えながら冬の空を眺める ほらね、年が明けたからといって今日も変わらず月も星もそこにあって 彼女もまた、あの真っ白な病室の窓から寂しそうにあの月を眺めているのだろうか 彼女の事を考えるだけで、胸の奥がキュッと締め付けられる 瀬菜には本当に酷い事をしたと思う でも、もう決めた事だ 瀬菜もそれを分かっていて、引き留めようとしなかったに違いない 無理に平然を装って笑い、送り出してくれた瀬菜のためにも僕はやらなければいけない事がある 決心をつけるように両手で勢いよく挟んだ頬は、パチンと音をたてて赤く染まった ,
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