第2章

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「…星崎?今どこに…」 今にも泣きそうな顔をしながら先生は海を見上げ、海はニヤリと笑って携帯を台に置いた。 「兄さんって言いたいけど…邪魔されて暇な俺は大和さんに元気メールしただけですよ」 大和と言う名を聞いたとたんに先生は目を見開き真っ青になった。 先生?思いっきり動揺してるし、何者?! 「海?大和さんって?こんなに先生が…」 「健太朗は知ってるじゃん?健太朗いわく『イケメン執事』?だっけ?」 「え?坂井さんの名前??執事じゃないの?」 「この学園の学園長!で、この学園の理事長の元執事。腕を買われて去年から就任、そしてこの沖先生の同級生。」 「へぇ…すごい人だね。学園長で元執事で先生の彼氏…」 「彼氏じゃない!!」 まぁ学園長ならこわいよなぁ。抱きついたくらいで、クビとかにならないよな。 「ちゃんと俺からも説明しますから。海もそのくらいにしてあげなよ。」 何だか大人を苛めてるみたいで先生が可哀想になってきたかも。 「青…」 先生が顔をあげようとした瞬間、携帯の呼び出し音が掛けていた先生のジャケットから鳴り響く。 「…」 まさか、坂井学園長からとか?? 先生は慌てて走り寄ると、携帯を取り出し電話にでた。 「何もしてない。いきなりなんだ。」 ん?本当に坂井さんなんだ? 先生は聞かれたくないのか、そのまま近くの俺の部屋に閉じ籠ってしまった。 …何となくと言うか、海は敵に回したら危険だ。学園長の番号知ってるとかスゴすぎる!! 「健太朗?」 「は…はい!?」 急に呼ばれ慌てて海を見ると片手で顎を支えながら苦笑いをしていた。 「心配しなくても健太朗にはしないよ。まさか電話までかけてくるとは思ってなかった。先生苛めすぎたかな?」 「海は何者?…でも、友達でよかった。」 本心からそう思う。 「惚れないでね!」 いたずらっぽく笑う海にまだ残っていたバームクーヘンを投げ、少し和んだ空気に安堵して残りのコーヒーを飲み込んだ。
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