プロローグ

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喜多嶋「岡野ヒロか、今日から、よろしく頼むな」 オフィスに入ると、喜多嶋社長が僕を案内してくれると言う。 岡野「よろしくお願いします」 さっと頭をさげると、視界に喜多嶋社長のストレートチップな靴先が目に入った。 岡野(社長の靴、かなり高いよね。……いかにも、仕事ができそうな感じ……さすが、株式会社ラクルのトップだ) ラクルの社長・喜多嶋彰さんは肌触りのよさそうなダブルのスーツを、さりげなく着こなしている。 足元はブランド物の靴で、上質なフォルムが質実剛健ならしさを出していた。 男らしい首元にはぱりっとアイロンの効いたえりが覗いていて、いやみがない。 喜多嶋「うちがARなどのアプリを作る開発部門と、イベントの総合プロデュースをする部門があるのは知ってるな」 岡野「はい」 起業して、あっという間に上場した新進気鋭の広告代理店。 最近ではイベントでも、プロジェクションマッピングに力を入れていて、何度もメディアに取りあげられている会社だ。 岡野(少数精鋭と聞いていたから、まさか入れるなんて……まだ夢みたいだ……) すぐ僕と同世代くらいの男性社員が、そばに来た。 葛原「社長、鷲見社長がお見えです」 喜多嶋「またか……アポもなしに……。あいつのことだから、雑談でもしに来たんだろう」 そう言って、喜多嶋社長は行ってしまった。
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