Blue season's

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家に着き まず原田に 事の顛末と謝意を メールで送り 両親とは 小一時間ほど たがいの近況を話しあい それも そこそこで切り上げ 明日も仕事があるからと 暗くなる前に出発した。 助手席に絵を乗せて。 当然ではあるが 行きとは逆に流れる 窓の外の風景。 生まれた町を 離れてゆく この感覚が 僕はなぜだか 好きである。 『榊川』に架かる橋を 渡りきる頃には それもだいぶ 薄れているのだけれど… ICで 軽い渋滞に巻き込まれたものの 『サザエさん』の放映が 始まる時間には アパートに到着した。 部屋に絵を置き すぐさま 空っぽの冷蔵庫と 胃袋を埋めるべく 買い物に出かける。 とっくに日は落ち いつものように街灯は 無駄な明滅を 繰り返している。
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