トリコロールに愛を

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「それ、いいんじゃない?」 賛同の声にハッとする。 「つばささんの思考回路、ダダ漏れですよ?」 ベッドに腰掛けていたはずなのに、いつのまにか隣に座っていて。 どこから出してきたのか、手にはスケッチブック。 「カンカン帽はありじゃない? 新婦にもトーク帽っぽくさ、小さめのカンカン帽乗せて……短めのベールを垂らせば……ほら。」 なんて言いながら、さっき私が漏らしていたイメージを、立てた膝をテーブル変わりに、サラサラといとも簡単に描きあげた。 「そうそう、コレ!こんな感じ!!」 「ブーケはどうします?」 「んー。バラやアリウム、クリスマスローズの白やグリーン系で小振りに纏める? 差し色に1本だけ真っ赤なダリアとか? それを太めの白と青のストライプリボンで束ねたら……どう?」 「お、トリコロール? 徹底的にマリンで攻めんのもいいですね。」 専門用語がポンポン飛び交い、花の名前も知っている。 小気味よいリズムで交わす会話は、まるでスタッフ達と会話をしているようで。
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