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喪服姿の私たちに
太陽はまるでいじめるように
その熱を上げて
私たちの体を突き刺した。
汗と涙でまとめていた髪の後れ毛が首に貼りついた。
「…稲森?」
市原さんがハンカチで私の首筋を拭いた。
「ここにいたら倒れちまうよ」
見上げると市原さんの顔も酷い汗だった。
額から流れ落ちた汗が顔の輪郭に沿って服に染みていた。
半袖(ソデ)ワンピースの私と違って、彼はネクタイに黒い上着まで羽織っている。
「市原さん、大丈夫?」
私は慌てて市原さんの手からハンカチを奪い、彼の顔を拭った。
「私のせいで…いつも汚れてばっかり」
汗と…
涙で
「もう、慣れてるよ」
市原さんは笑いながら上着を脱いだ。
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