二度目の夏

19/38
1051人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「…12時か。どっかで飯食って帰るか」 コンビニでそれぞれペットボトルのお茶を買って、店の外に出たところ。 店内の冷房がカラダを冷やしすぎる前に表に出た。 長居すると、外に出るのが億劫(オックウ)になる。 店の外で熱気に纏(マト)われながら冷たいお茶を一気飲みする。 体中にひんやりとした熱が広がっていく感覚が心地いい。 「駅まで歩いて、探しましょうか」 「だな」 私たちは駅の方向へ足を進めた。 「稲森、傘は?」 「…します」 「30過ぎたら大変だ」 「うるさいです」 私は勢いをつけて傘を開いた。 傘を開けば 私は市原さんとは並べない。 私は一歩後ろを 傘の縁(フチ)から 彼の背中を覗きながら歩いた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!