恋の味

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理想はパパで、好きになる人は絶対パパみたいな人だと決めていた。 でもそれは無理に等しい。 だってパパは一人しかいないし、……そんなパパの運命の人は、ママだったのだから……。 「ほら、」 ……その声で我に返ると、いつの間にか目の前に立っている渉斐さんと目を合わす。 そして手渡されたものは、ほかほかの肉まんだったりする。 でも小首を傾げて見せると、「食えよ」と言われた。 「ありがとうござます。でも肉まんを食べたら、戻ってご飯が食べられませんよ?」 ……家にはママのご馳走が待っている。 から揚げだって、特大の海老フライだって、手羽先だって、いっぱいあったはずだ。 けど渉斐さんは、 「いいから食え!」 と有無を言わさずそう言う。
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