恋の味

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そのままあたしの手の中から肉まんの袋を奪い取り、その肉まんを半分に割ると、 あたしの口に突っ込んできた。 「あっ……っ、」 本当に強引で無茶苦茶な人だ。 別に食べたくないのに、おまけに無理やり口に突っ込んでくるなんて、 火傷でもしたらどう責任をとってくれるのだろう……。 そんな事を思っていたけど口だけは動かして、 手を使わず肉まんを口いっぱい頬張った。 うん、美味しい! 「お前さぁ、あの家で何かあった訳?」 あたしに背を向けて、歩き出した渉斐さんがそう聞いてくる。 渉斐さんも、半分の肉まんを食べている。 「……別に」 「嘘吐けよ。暗い顔してあの家から出て来たくせに……」 「う……!」
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