Counteroffensive-反撃の鯨波-

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絡み付く敵機を振り落とそうと機体をくねらせるが、突然機体を何かがめり込むと共に小刻みな振動が襲った。機内に警告音が響く。 見ると、敵の機関砲から放たれた銃弾が右主翼を貫いたようだ。銃痕から煙が細い糸となって後方へ流れていくその光景に、一瞬肝を冷やす水瀬だったが、幸い飛行に支障は無いようだ。 『っ……何で……!?振り切れない……!』 敵の機首が中々離れていかない。このままでは、一瞬の隙に漬け込まれて撃墜される恐れがある。 少しの操縦ミスも許されない切迫した状況下……彼女は何を思ったか、突然左右に振る機動を中断する。 操縦捍を手前へ引き、今度は急上昇。急激な機動で発生したGが身体を座席へ押し潰す勢いでのし掛かり、視界が狭くなる。 しかし襲い掛かるそれらに歯を喰い縛って耐えながら、アフターバーナーを点火。さらに加速し上昇を続ける。 ……敵機は真下から追尾してきているに相違ない。先ほど此方を撒き、見事に後ろを獲って見せたようなパイロットだ。このまま流れに乗って撃ち落としてやろうという魂胆であるに違いない。自分ならば、そう考える。 ━━……ならば……! 重圧に詰まる息を必死に保ちながら、水瀬は直ぐ背後に迫っている巧者に一矢を報いてやろうと、操縦捍を強く傾けた。
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