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海新学園。埋め立て地に作られた新しい街の一角に、その学園はあった。
10月。海風が強く、すでに肌寒い日が多くなっていたが、武安淳次はオレンジ色のTシャツの腕をまくり、長めの髪が垂れる額に汗を滲ませて、上気した顔で2年A組の教室に戻ってきた。
「アチィー、体育館の工事、はやく終わんねーかな」
淳次は手で顔をパタパタと扇ぎながら誰にでもなく文句を言った。
二週間ほど前から体育館は補修工事で使用禁止になっていたので、この昼休みは、屋上でミニサッカーを楽しんできたのだ。
「ミスター!」
何人かのクラスメイトが淳次の愛称である『ミスター』と呼びかけて、駆け寄ってきた。
勉強もスポーツも万能で、背も高く、眉の整った今風のイケメンだったが、淳次の性格は熱血で、いつもクラスの中心的人物だった。
何でも出来る淳次は、尊敬の念を込められてミスターパーフェクトと呼ばれ、それがいつしか略されて『ミスター』と呼ばれるようなったのだ。
男女問わず人が集まり、軽口を言い合いながらその人垣を抜けると、淳次は野原草太のもとへとやってきた。
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