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side:石田陽介
帰国後、再会した僕たちは、週末のように飲みに行くようになった。
相変わらず、弱い癖に記憶無くすまで飲まれてしまう要さんが信じられなくて。
「要さ~ん、歩けますか?」
「ダイジョブ、ダイジョブ~!」
酔っ払いの“大丈夫”程信用の無いものはない。
(どうせ、また覚えていないんだろうな~…)
「陽介今日もカッコよかったぁ~」
「ありがとうございます。」
ダンスキャンプに参加していた日本人のコリオグラファーの伝手で、単発の仕事が舞い込むようになった。
今日はとあるイベントで踊ってきたんだけど、なぜか要さんとバッタリと遭遇した。
聞けば、たまたまスポンサーになってる会社のイベントだったみたいで。
「また上手になったよね~ダンスキャンプからまた一段とって感じ~ますます好きになったぁ…」
上機嫌で饒舌に語るもんだから、ちょっとからかってみようと思った。
ほんのちょっと間がさしたんだ。
「そんな今更ですよ?それに、僕のが先に好きになったし。」
「残念~俺のが先だなあ…あの発表会の舞台で見た時からの一目惚れだから。あの時から目が離せないんだよね~
知らないでしょ?陽介の踊ってる時の背中とか指先とか眼差しとかめちゃくちゃ色っぽいんだよ?」
「んなっ...」
聞くんじゃなかったと、思わず口元を覆ってしまう。
(恥ずかしい...)
「その憂いのある目も、ちょっと猫っ毛の髪も、色白で手足が長いところも好きなんだ。
でもね二番目は踊ってる陽介が好きだな~三番目は、無防備にストレッチしてる時で~…」
「わかりました!もういいですってば!!要さんずるいです、それ、俺にとっては最高の褒め言葉ですよ!嬉しいですけど、恥ずかしいからやめてくださ、ぃっ…ん…ふっ……」
この人、ホントに酔ってんのか確信犯なのかわからなくなる。
深く深く、刻みつけるように優しくも激しい口づけに翻弄されていく。
チュッとリップ音を立てて唇が離れていく。
首元に絡みつくように抱きつかれる。
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