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何が良いもんか!
胸の内でそう叫びながらも、
あたしはなんとか笑顔で、
すだっちの憧れ目線を受け流した。
毎日のように繰り返される、
友人たちとの午後のひととき。
「やっぱり、
好きな人とは出来るだけ長く、
一緒にいたいよねぇ」
アイスティーをストローでかき混ぜ、
氷が立てる音を楽しみながら、
なっつがうっとりと言った。
「だからさ、まっきーがうらやましー」
反射的に反論しかけ、
けれど口から出る前に、
その言葉を飲み込んだ。
――同棲なんて、そんな良いことばかりじゃないんだから。
けれど、わざわざ、
彼女たちの夢を砕くこともない。
そう自分に言い聞かせて、
あたしは曖昧な笑みで言葉を濁した。
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