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涙を滲ませ微笑むと同じように笑いながら、唇を重ねてきた。次第に熱くなっていく郁也さんのキスに、堪らなくなってくる。絡み合うお互いの唾液が、室内に卑猥な音を立てた。
身体全部で郁也さんを求める。もっともっと欲しくて思わず、背中を掻きむしった。
「お前の想いに応えるには――」
「んっ……なに?」
「だって言葉だけじゃなく、文字にして残してくれてるだろ。それに応えたいって思ったんだ」
「だったらピロトークで、たくさん愛の言葉を聴かせてよ」
僕が提案すると、焦った表情を浮かべた。
「――その、な。愛してるとか、ありきたりなことしか言えないぞ」
「それでもいい。郁也さんが心を込めて、伝えてくれる言葉だから」
耳障りのいい郁也さんの声はベルベットのように柔らかくて、僕の心に沁み込んでくるんだ。
「そんなピロトークを聴きながら、郁也さんの胸の中で眠りたい」
「涼一が安眠できるなら、いくらでも聴かせてやるよ……」
約束を確かめ合うように肌を重ねあった僕たち。そんなピロトークを聴きながら思う。
――僕らの恋は無敵だと――
~Fin~
拝読、誠にありがとう☆ございました。
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