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「秘密基地ってどこに?」
言葉の響きにまりこは心躍り、目を輝かせて聞いた。
「うーんとね、お兄ちゃんがね、河原に作ってたから、河原に作ろうよ」
「うん、そうだね。お兄ちゃんがそうしてるなら、そうしよう!」
子供ながらに、健太郎の兄をまりこは尊敬していた。自分にはできないことを次々にやってみせる健太郎の兄。その兄がそうしているなら、間違いないと決めつけていた。
補助輪のついた自転車に乗って、河原に向かった。
「どんな秘密基地作ろうか?」
「うーんと大きいやつがいいよ」
まりこの中では理由はわからないが、秘密基地とはとてつもなく大きいとなっていた。
「大きいやつかー。じゃ、がんばらないとね」
「そうだね」
河原に着くと、まず場所を決めないといけない。
「どこにしようか?」
健太郎が聞いた。
「どこがいいかな?」
まりこは、右に、左にと目を凝らした。それでも見えるのはグラウンドと自分の背よりも高いススキや雑草、その先に川、どこがいいかと言われてもピンと来ない。
「わかんないよー」
まりこは泣き言を言った。
「健太郎くんのお兄ちゃんはどこに作ったの?」
「うーん、わかんない」
「なんでー?お兄ちゃんでしょ、健太郎くんの?」
「お兄ちゃんがね、秘密基地だから詳しい場所は教えられないって」
「えー、そんなー」
健太郎の兄の真似をしようと思っていたのに、詳しい場所を知らないとはどういう事なのだ。まりこは頬を膨らまし拗ねた。
「ごめんよ・・・」
健太郎はまりこに謝るしかできなかった。
その時だ。草むらの中から子犬が顔を覗かせた。
「まりこちゃん!」
健太郎が指差すよりも早く、まりこは子犬の元へと走り出していた。
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