若手教師(脇役)武蔵野は、プロローグを語る。

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「2番。石田 友子」 「はいっ」 石田は女の子なのにハキハキしてて、学級委員長にでもなってクラスを明るく引っ張ってくれそうだな。頼むぞ、石田。 「3番。磯部 麻里」 「‥‥‥はい」 おとなしそうな磯部はいかにも本が好きそうだな。今だって机の下に隠して本読んでるし。今度一緒に好きな本の話を語り合ってみたいな。 「4番。植木 真吾」 「はいっ!」 植木は見るからに活発で、もしかしたらサッカー部に入ってくれるかもな。そしたら顧問の僕と仲良くしてくれよ。 「5番。榎本 祐介」 「はい」 こんな時でも榎本は勉強してるのか。将来は医者か研究職か。まったく大人になるのが楽しみだ。 「‥‥‥以上、32名。これから1年間一緒に勉強する仲間です」   そんな調子でひとりひとりの顔と名前を見比べ、ひとり一言を脳内で思い浮かべつつ、最後にはクラス全員の名前を読み上げて、持っていた名簿を教卓に置いた。
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