episode2・②

22/25
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
千島さんの言葉に空を見上げると、いつの間にか雨はやんでいた。けれども、まだ、雨はすぐそこにいる。雨の匂いや、気配を感じるから。 「ねぇ、西村君」 「何ですか?」 「その、プロポーズの前の儀式だけど、晴れの日にしなさいよ」 「え?」 「だって、そのほうが、縁起がいいじゃない。雨の日に振られるなんて最悪じゃない?身も心もずぶぬれなんてね」 いたずらっぽい笑顔を向ける千島さんに、 「振られる前提ですかぁ」 俺は情けない声を出す。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!