彼女の存在

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「残り15分で~す!!ラストオーダーなのでドリンク頼む人~?」 遠くから幹事の佐々木くんの声が聞こえて、 私と明石さんはジンライムを注文。 裕と小林はずっとビールを飲んでいて…。 ん…? 裕の隣に座る青木主任を見ると、片手を頬にあてながらその顔は真っ赤で明らかに酔っ払らってる。 ちょっと飲みすぎじゃない? それともお酒弱いとか? 「青木、大丈夫か?」 それに気づいた裕が青木主任の顔をのぞきこむと 「はぃ…大丈夫ですぅ… ちょっと飲みすぎちゃったみたいで」 そう言って青木主任は、ちょこんと裕に軽くもたれかかった。 わぁっ!! …ちょ、ちょっと!! 思わず息を大きく吸ってしまった私。 「課長?」 「ん?」 「課長は~、彼女さん、 いるんですかぁ?」 ほらっ…やっぱきた。 もうすぐお開きだっていうのに…。 おとといの飲み会で宣言した通り、短刀直入にそう聞いてる青木主任。 その声は決して大きな声ではなかったのに、 どんだけみんな地獄耳かと思うくらい、 近くに座ってる女子社員は いつの間にか裕に視線を集めてる。 私は目の前に座る裕の顔が見れなくて、 だけど耳だけは、きっと 誰よりもダンボだったに違いない。 「彼女かぁ…どうかな」 「あぁ~ごまかされた。 教えてくださいよ~」 肩でチョンチョン裕を押しながら、ますます体を近づけてる青木主任。 「知ってどうするの?」 「いなかったら、彼女候補になりたいなぁって」 「へぇ~」 青木主任って…随分だいたんですね…。 それ告白ですよね。 っていうか裕こそ“へぇ”って何よ。 それになんでちょっと嬉しそうな顔してんの?
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