先走る想い

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マンションを出ると、 タクシーをつかまえようと大通りまでひたすら走った。 こんな風に家を出てしまったのはこれが2度目。 1年前、アメリカに私は連れて行かないって裕に言われて、 そのときも啖呵切って部屋を飛び出してしまった。 いつだって私は、何かあるとそれを解決しないまま裕から逃げ出してしまうんだ。 手に残っていた婚姻届のかけらは、 今の自分の気持ちと同じように、 ぐちゃぐちゃに小さくなっていて 虚しい形に、ただ後悔ばかりが残る。 婚姻届を見たとき 裕はどう思ったのかな…。 結局私は、 何がしたかったんだろう。 とりあえず裕にサインをさせて、縛りつけておきたかっただけ? 昨日の飲み会のこともあって、早く私だけの裕になって欲しくて、 待ちきれなかった。 でも、早すぎたのかな? 急ぎすぎたのかな?
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