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荷物はすべて浅井さんが持ってくれている。
そんな浅井さんの半歩後ろを歩いていると視界に入るジュエリーショップ。
別に何か今欲しいわけじゃない。
でもあのキラキラしたガラスケースの中のアクセサリーは見ているだけで幸せな気分にしてくれる。
「入ってみますか?」
「あ、いえ欲しいものがあるわけじゃないので……」
「ならいいんですが。やっぱり女性はアクセサリーが好きですか?」
「そうですね、見てるだけで幸せな気持ちになってしまいます」
「そう言えばずっと気になっていたんですがその右手の指輪」
「あぁ、これですか?」
右手の薬指にしている二連の指輪に目をやった。
「お揃いなんですね」
「はい、昔一緒に買ったんです」
ペアリング。
でも相手は遊華。
きっと食事の時なんかに気付いていたのだろう。
「何かの記念ですか?」
「ええ、遊華の独身最後の旅行の時に」
「そうですか」
「ずっと付けてるのでなんだか今更外すのもなって思って」
「いいと思いますよ。お互いすごく大事に思って理解しあってる2人だと思いますし」
「そうですか? 浅井さんと紫月さんもですよね」
「そうですね」
気付けば夕方。
ショッピングモールの天井から見える空は赤くなっていた。
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