第3話

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結局私と浅井さんは入浴剤のセットと、デジタルフォトに決めた。 「浅井さん、これ私にラッピングさせてもらえませんか?」 「ラッピングですか?」 「はい、折角だから2つ一緒に入れて」 「いいんですか?」 「もちろんです」 少し戸惑う浅井さんに笑顔を向ければにっこりと笑い返してくれた。 雑貨屋でラッピング用品を見ながらつい、可愛い雑貨に目は寄り道してしまった。 「それ可愛いですね」 浅井さんは私が視線を向けていた方に同じように視線を向けていた。 「あ、ごめんなさい、つい……。リボンどっちがいいと思いますか?」 自分がリボンを選んでいた事を思い出して慌てて視線を戻す斜め後ろに立っていた浅井さんはスッと手を伸ばすと、私が見ていたメッセージカードサイズの動物の付箋を手に取った。 その腕がまるで自分の肩を抱かれているんじゃないかと思うほど近くて、思わずドキっとしてしまう。 「どっちが可愛いと思いますか?」 「え? えっと魚の方……ですかね?」 魚やイルカの物とライオンやキリン、さしずめ水族館と動物園の様に分かれているそれ。 「ではこっち。後は……あ、これですね」 付箋と一緒に浅井さんが手に取ったのは同じシリーズのイルカのフラッシュメモリーだった。 「え?」 「これは今日買い物に付き合ってもらったお礼です」 「そんな! 悪いです」 「これくらいさせて下さい」 にっこりはっきり言われてしまえばそれ以上私に返せる言葉は思いつかなかった。 「ありがとうございます」 「こちらこそ。あ、リボンはこっちが良いです」 「じゃーこっちにします」
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