第1章

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「でも、今となったら恭一君のその意志の強さに感謝しかないわ。 もし、恭一君とそういう関係になってたら………航大のお葬式に出る資格もなかった。 それに、郁ちゃんにも」 真剣味を帯びた瞳が私を見つめる。 「恭一君が何よりも大切なもの見つけたのに、私とのことが足を引っ張って幸せになり損なったら………。 恭一君にも郁ちゃんにも、合わせる顔がなかった」 凛としたその声に、心の奥が震える。 「今まで引っ掻き回して、散々ひどい目に遭わせてきたんだから、今更かもしれないけどね」 自虐的に微笑む悠花さんに伝えるべき思いがまとまらなくて、ただただ首を横に振った。 「信じてくれないかもしれないけど恭一君、本当は繊細で傷つきやすくて寂しがり屋さんなの」 「………なんとなく分かります」 「ふふ、その恭一君が郁ちゃんには素直に喜怒哀楽を出せる。 それだけで私、泣きそうなくらい嬉しいのよ」 そう言って、私の手を握りしめてくれた。 「困った人だけど、これからもそばにいてあげてね」 手のひらから伝わる悠花さんのしっとりとした温かさが、私の胸のモヤモヤやドロドロとしたものをゆっくり溶かしていく。 「先生……謝ったら許してくれるでしょうか」   「当たり前でしょう。 あっちも今頃悶々としてると思うわ。 ────もうそろそろかな?」
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