1 ぺこ先輩

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あれは中学3年生。 2学期のことだった。 「友達の彼、今度パトリック学園の文化祭ライブでボーカルやるんだって!陸、ギター弾いてるじゃん。一緒に行かない?」 まだ志望校も決めてないでしょ!って。 半ば、強引に2コ違いの姉に誘われて。 たいした興味もないまま出かけていった、聖パトリック学園高等部文化祭ライブ。 そこで、はじめて。 あの人を見かけた。 緑色の髪に優しげな顔立ち。 華奢な手でたどたどしく。 一生懸命、ギターを弾く様子。 「ぺこー!」 盛大なコールに、恥ずかしそうに笑いながら。 小さく手を振り、みんなに応えるその姿。 未知数の希望でキラキラ輝いているように見えて。 「いずれ部長になるヤツだから」 こんな紹介を聞いた時。 一気に俺の心は固まった。 この高校を受けよう。 そして、必ず。 あの人のとなりへ行くんだ。
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