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結婚相手は、大嫌いな父親の鷹都。
ひとつでも重すぎる現実が。
いくつも重なりすぎて。
あたしは…
何も考えられない。
体の中に放たれる熱も。
あたしの中のDNAと同じ一部を持ってる。
急に鷹都の動きがピタリと止まった。
「…なぜ、泣いている?」
気づかなかった。
そんな感覚もなかった。
「泣いてないよ。」
ポツリと答えた。
「痛いのか?苦しいのか?」
涙の流れたこめかみに。
ゆっくりと。
優しく指をはわせた。
「ねえ…こんなの楽しい?」
自分でも何を聞いてるんだろう?
思わず言葉が出てしまった。
「夢でなければな…。」
微かに一言。
聞き間違いなんかじゃなければ。
鷹都はそう言った。
これが夢であって欲しい。
あたしはそう思っているのに。
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