金壱章 雷光一閃

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その時、かつて将軍家を 担っていた、渦中に居る 『足利ヨシテル』は、と 言うと……。   マサムネとモトナリ。 そして、毛利輝元達から救出した イエヤスとカシンと共に 駿河を目指していた。   「意外だったわね……」   「本当……。あの娘 もう少し、駄々をこねるかと 思っていたんだけど 杞憂に終わるなんて……」   騎乗したまま、カシンを見て 驚いた顔で話す、ヨシテルと モトナリ。   「私の見立てだと……。 イエヤス殿より、しっかりしてる かもな……。あの娘」   そこへ、話し掛けるマサムネ。   「……どういう事? 『しっかりしてる』って」   理由を聞き返す、ヨシテル。   「伊勢国分寺出る時、あの二人が どんな話をするのか 聞いてたのだ……」   それは時戻る事、半刻前。 伊勢国分寺にて。   朝餉を取った後、皆が 出掛ける準備をする中 イエヤスとカシンが 今後について、話をしていた。   『お姉ちゃん。お話って何?』   『昨日の事、なんだけど……。 ヤクモさんが、言ってた事 覚えてる……?』   イエヤスがためらいながらも カシンに話し掛ける。
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