エピローグ

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(腹が減ったな…) 此処に来て美奈子の作る晩飯を食いっぱぐれた事が痛い。 (…自業自得か) 身体はクタクタに疲れて切っているのに、感情が変に高ぶっているのと、痛いくらいの空腹感で、目が完全に冴え渡っている。 甘い匂いがする美奈子が、本気で食い物に見えてきて、噛んだら甘いような気がする自分に嫌気が差して起き上がった。 冷凍食品臭い夜食を1人で食べていると、余計に侘しさが募ってしまう。 後少しガマンしてれば美奈子の旨い飯にありつけていたかと思うと、己のバカさ加減にため息が出た。 それでも満ち足りた胃袋のおかげか、ベッドに戻ろうとする寸前に、太い足を投げ出すような霰もない寝姿を見つけて爆笑を堪える。 (明日コレを見せてやろう…) 携帯に収まった色気の無い写真をニヤニヤしながら確認していると、泣けるぐらいに不安だった心が、いつの間にかほっこりと暖かくなっていた。 寝てても癒やす美奈子のパワーが、つまらない欲望を蹴散らしてくれるようで。今度こそ満ち足りた思いで、柔らかい身体を抱き締めて瞳を閉じる。 起こしてもう一度と疼く欲望は、美奈子の健康を気遣えるようになったおかげか、微睡むウチに治まって行く。 きっと朝になればまた慌ただしい日常が始まる。だからきっと台風のような美奈子の迫力に負けて、また夜まで待たないといけないのだろう。 けれどそんな毎日を過ごせるのなら、待つのもきっと悪く無い。 頬をリンゴのように紅潮させながら、白いウェディングドレスを着た美奈子を見れるその日まで。 *** 甘い林檎を召し上がれ fin ***
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