Pure

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…………「くしゅん!!」 本日二度目のくしゃみ。 やっぱりどう考えてもシングルサイズの布団で大人二人が寝るのには無理があったと思う。 ただでさえ、忍さんは背が高いのに… 隣で気持ち良さそうに熟睡している彼を見る。 相当疲れていたのかな? 私がくしゃみしてもピクリともしない。 自分のお腹の上に乗せている彼の腕を拝借して、勝手に腕枕を作った。 その上に顔を乗せて、腕枕を堪能する。 明日の朝にはもう、サヨナラだ。 これぐらい甘えてもいいよね…? 「凛」 ……朝? 「起きて下さい、凛」 早ーい…もう、朝か… 「腕が…痺れてます。 起きて下さい」 「えっ?あっ!すみません!!」 ガバッと勢いよく起き上がった。 忍さんは辛そうに片手を顔にあてて、痺れを我慢している感じ。 「ごめんなさい…大丈夫ですか?」 「えぇ…まぁ…」 嘘だ。何かに耐えている顔。 私はこの顔、知っている。 「勝手にごめんなさい…」 「いえ、大丈夫ですから…」 忍さんはゆっくり起き上がって、自分の腕を確認していた。 痺れ、大丈夫かな? 「腕枕なんかして欲しかったら、言えばよかったのに」 「す、すみません…」 「そんな事を言う気力も残ってなかった?」 昨夜の事を思い出して、ボンッと赤くなる顔。 忍さんはそんな私を見て、クスッと笑う。 もう…意地悪だ。
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