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玄関ホールには、夥しい血痕が飛び散っていました。
その惨状とは裏腹に屋敷内はやけに静まり返っています。
私は恐怖で膝ががくがくと震えてしまい、なかなか一歩を踏み入れられません。
旦那様も愕然としてはおられましたが、大変に肝が座っているお方です。
靴のまま、血痕が散っている白いホールに入って行きました。
大理石の上で、真新しい血痕が旦那様の靴跡を形作っていきます。
情けないことに私は、膝の震えを止められずに、自分の膝を抑えながら座り込んでいました。
「垣内さん、ちょっと来てくれませんか」
どの位経った頃でしょうか、旦那様の声でやっと正気が戻りました。
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