終話 仄暗い闇の底から

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 朝倉の家にたどり着いた俺と上田は、玄関のインターフォンを押し、住人が出てくるのをしばし待っていた。  ドアが開き。  朝倉の母親が俺たちを出迎える。  出迎えた朝倉の母親の姿を見て、俺たちはぎょっとして身を引いた。  参観日で見た時はとてもきれいで元気で若々しかったのに、その面影はどこにもなく、毎日を鬱悩み、泣き過ごしたことが一目で分かった。  朝倉の母親は俺たちを見て穏やかに微笑む。 「あの子に会いに来てくれたの?」  俺は頷く。  はい。朝倉、いま部屋に居ますか?
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