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「も……やだ」
「何が?」
お皿とカップを腕で横に滑らせて空いたスペースに突っ伏すと、ゴツンと額が鳴った。
「何がって……なんでこんないつまでも。好きって自覚して、好きって言われてからもなんでこんな悶々としなきゃいけないの」
「あはは」
美佳は他人事だと思ってか、楽しそうな笑い声が頭上から聞こえた。
私は少し腹が立って、そのまま顔も上げずに無視している。
私が拗ねたことに気がついたのか、小さな溜息と同時につんつんと後頭部をつつかれた。
「彼とか。また聞いといてあげるわよ。間宮さんの女性関係とか。変な噂とかあったら教えたげる」
「……いい。なんか詮索してるみたいだもん」
「メンドくさい子ね。臆病者の上変に生真面目」
「うるさいな」
どうせめんどくさいですよ。
美佳の優しさには感謝してるけど……結局、信頼を育てていくしかない。
それには彼のことを知りたいけれど又聞きではダメなのだ。
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