デートをしようか

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朝から行為に耽ってしまった後、下半身に鈍痛を感じながら、俺はキッチンに立っていた。 ───ちなみに今俺がいるのは、伊織の本当の住み処。 5階建てのアパートの、最上階の一部屋。 今まで倉庫の部屋や伊織の姉の摩耶さんの店にある部屋にしか連れてこられず、それがすっかり定着していた。 だからアパートの存在を知らされた時はすごく驚いた。 『───中途半端な状態で、お前を連れてきたくなかった。』 伊織は俺にそう言った。 まだ伊織が元彼女との因縁に決着をつけられていなかった頃だ。 伊織の元彼女とのことで色んなことがあって、たくさん傷ついて、一時は別れたけど。 やっぱり俺は伊織への想いを捨てることはできなくて。 伊織も同じ気持ちだと言ってくれて、今こうして元サヤに収まったワケだけれど。 ……それにしても、質素な内装だな。 キッチンからはリビングが見渡せるようになっていて、そのリビングにはソファやテレビ、テーブルなどが置かれているのだが。 でもそれだけで、必要最低限の物しか揃えられていない。 伊織自身も、俺とこうなるまではあまりこのアパートに近寄らなかったらしい。
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