デートをしようか

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「伊織っ……もうすぐ淹れ終わるから…」 「ああ。」 「あっちで座ってていいよ?」 「……ああ。」 なんとかこの緊張感から逃れる為に、言外にここから離れるよう促してはみたものの。 そんな小細工は伊織には通用しないみたいだ。 背後から突き刺さる視線に気分が落ち着くことはない。 側にいてくれるのは嬉しいけれど、状況が状況だけに、今は御免被りたいところだ。 なかなか打開できそうにないこの状況にこっそりと溜め息をついたその時。 後ろからフワリと包まれる感触がした。 「───!」 目の前で交差された腕は、伊織以外の誰の物でもない。 グッと密着し、頬を寄せてくる伊織。 俺の心臓が大きく跳ね、ドキドキと早鐘を打ち始めた。 「い、おり…っ?」 動揺で声が裏返ったのが自分でもわかる。 すると、すぐ後ろからクスリと笑う気配がした。 「……フ。動揺してんのか?」 「なっ…」 「かわいい。」 「~~~~っ!」 普段の伊織からは想像もできないほどの甘さっぷりだ。 それを見せるのが俺だけというのはすごく嬉しいことだけど。 甘すぎて、糖分の過剰摂取になりそうなくらい。 「雅臣、こっち向け。」 「ちょっ……まだコーヒー淹れてなっ……」 「後にしろ。」 「ちょっと、伊織───んんっ」 強引に正面を向かされ、唇を奪われる。
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