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「………。」
黙ってしまったわたしをチラリと横目で見て、トラは大袈裟にため息をついた。
「……あ!
今『いい年して何やってんだ。』って思ったでしょ~。」
わたしはわざとおちゃらけて明るく言ってみせる。
なのに、その空気はたちまちトラの正論に打ち破られてしまった。
「ホント。
高校ん時から全然成長してねーな。」
「うぅ…。」
ぐうの音も出ません。
そう。
トラはいつだって正しい。
わたしの性格もよく知っているし、わたしが進むべき正しい道も、
トラならきっと導いてくれるだろう。
だけど、今日は。
優しい言葉が欲しかった。
『須藤 湊人』という一人の男の人に、
初めて自分から興味を持ったこと。
この気持ちを肯定してほしいわけじゃないけれど、
否定もしてほしくなかった。
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